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「相続開始日」とは?起算点の意味と注意点

相続手続きをスムーズに進めるうえで、もっとも重要な基礎情報のひとつが「相続開始日」です。
相続開始日とは、民法882条に基づく “被相続人が亡くなった日” を指し、相続放棄・相続税申告・遺言の確認など多くの法的手続きの起算点になります。

この日を誤って認識すると、

  • 相続放棄の手続期限(死亡から3か月)

  • 相続税の申告期限(死亡から10か月)

  • 遺産調査や協議の段取り

など、すべてに影響し、重大な不利益につながることがあります。

相続開始日は全国どこでも共通の法定ルールですが、戸籍や行政手続に時間がかかるケースも多く、早期の確認が不可欠です。


■ 相続開始日とは?(全国共通の基本ルール)

相続開始日は 「被相続人の死亡日」
これは、日本中どこでも同じルールです。

相続開始日が基準となる主な期限:

内容 期限 基準
相続放棄・限定承認 3か月以内 相続開始日
相続税申告 10か月以内 相続開始日
準確定申告 4か月以内 相続開始日
遺産分割協議 法的期限なし ただし準備は開始日基準

このため、「死亡日=相続開始日」の把握ミスは致命的です。


■ 相続開始日を誤認しやすいケース

全国的に、次のようなケースでは開始日の確定が遅れがちです。

● 戸籍が複数自治体に分散している

転籍・婚姻・離婚・養子縁組があると、出生から死亡までの戸籍が複数の市区町村にまたがることがよくあります。

● 死亡届の提出先と戸籍管理自治体が違う

病院のある市で死亡届を出しても、戸籍は本籍地にあります。
戸籍の反映までに時間がかかることもあります。

● 遠方の相続人が多い

全国に住む相続人への情報共有にタイムラグが生じ、開始日の誤認につながることがあります。


■ 行政書士が支援できること

行政書士は相続開始日そのものを「決定」する立場ではありません。
しかし、次のような 書類作成・調査・情報整理の支援 を行うことができます。

行政書士が適法にできること

  • 死亡日を確認するための戸籍・除籍の取得

  • 相続人調査(戸籍収集・法定相続情報一覧図の作成)

  • 財産調査のサポート(必要書類の案内・取得代行)

  • 相続開始日を基準とした手続スケジュールの作成

  • 相続関係説明図・財産目録の作成

  • 遺産分割協議書の作成(協議は相続人が行う)

  • 遺言書保管制度や公証役場手続の案内

行政書士ができないこと

  • 家庭裁判所への申立「代理」(書類作成支援は可)

  • 相続人間の交渉代理

  • 調停代理や紛争の仲裁

  • 相続登記の代理申請(司法書士の業務)

  • 相続税申告(税理士の業務)


■ 相続開始日の取り扱いでよくある問題と対策

● 1. 相続放棄期限の誤認

「3か月」が短いと感じる人は多く、情報共有の遅れが致命的なトラブルを生むことがあります。
→ 戸籍を早めに取得し、開始日を明確化することが必須です。

● 2. 昼夜をまたぐ死亡時刻の扱い

法的には「死亡した日」が起算点で、時間帯によるズレはありません。
0時直後の死亡などで混乱しやすいため、戸籍記録の確認が大切です。

● 3. 遺産分割や税務の開始時期が遅れる

相続開始日を共有しないと作業が後ろ倒しになり、相続税申告が期限ギリギリになることもあります。


■ 相続開始日を確実に把握するための流れ

  1. 死亡届提出(7日以内)

  2. 戸籍(除籍・改製原戸籍)の取得

  3. 相続人全員へ開始日の共有

  4. 期限管理表を作成(行政書士がサポート可能)

  5. 相続手続の準備を開始
     ・財産調査
     ・相続関係説明図の作成
     ・遺言書の有無の確認

  6. 必要に応じて税理士・司法書士と連携


■ 行政書士に相談するメリット

  • 手続き全体の「期限管理」が確実になる

  • 戸籍や資料収集を代行してもらえる

  • 相続開始日を基準にしたスケジュールが作れる

  • 他士業との連携でワンストップ対応が可能

  • 不安や質問をすぐに解決できる

行政書士は「最初に相談する窓口」として非常に適しています。

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