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12.242025
「代襲相続」とは?被代襲者の死亡と相続人の関係

相続では、本来相続人になるはずだった人が、被相続人より先に亡くなっていることがあります。
その場合に、亡くなった相続人(=被代襲者)の子や孫が代わりに相続人になる仕組みが代襲相続です。
代襲相続は、特別な家庭にだけ起きるものではありません。相続人が多い家系や、世代が進んでいる相続では、比較的よく見られます。
仕組みを知らないまま手続きを進めると、「本当は相続人なのに話し合いに入っていなかった」という事態になり、手続きがやり直しになったり、トラブルの原因になったりします。
この記事では、代襲相続の基本ルールと、実務でつまずきやすいポイントを整理して解説します。
代襲相続が起きる典型例
例として、被相続人(祖父)が亡くなった時点で、本来相続人になるはずだった子(長男)がすでに亡くなっていた場合を考えます。
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本来の相続人:長男
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しかし長男が先に死亡 → 長男の子(孫)が代襲相続人になる
このように、被代襲者の「子」が相続人として登場するのが代襲相続です。
なお、代襲相続の対象は主に次の範囲です。
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被相続人の子(その子が亡くなっていれば孫、さらにその子…)
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被相続人の兄弟姉妹(その兄弟姉妹が亡くなっていれば甥・姪)
※兄弟姉妹の代襲は、一般に甥・姪までで止まります。
「いつ亡くなったか」がポイント
代襲相続で大事なのは、被代襲者が 「相続開始前に亡くなっている」 ことです。
相続開始は、被相続人が亡くなった時点です。
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被相続人が亡くなる前に、被代襲者が死亡 → 代襲相続が起きる
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被相続人が亡くなった後に、相続人が死亡 → それは代襲ではなく、別の相続(二次相続)の問題になります
ここが混同されやすい点なので、まずは戸籍で死亡の時系列を確認します。
代襲相続では「相続人の確定」が特に重要
代襲相続が絡む相続は、相続人の数が増えたり、想定外の相続人(甥・姪など)が出てきたりして、関係が一気に複雑になります。
そのため、最初にやるべきことは一つです。
相続人を戸籍で確定すること。
具体的には、次の書類を組み合わせて確認します。
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被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)
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被代襲者の死亡が分かる戸籍(除籍等)
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代襲相続人(子・孫・甥姪)の戸籍(続柄の確認)
行政書士は、これら戸籍等の収集・整理、相続関係説明図の作成などにより、
「誰が相続人なのか」を見える形に整えるサポートが可能です。
遺産分割協議では「代襲相続人の参加漏れ」が致命的
代襲相続がある相続で最も多いミスは、代襲相続人を入れずに遺産分割協議を進めてしまうことです。
遺産分割協議は、原則として相続人全員が参加し、合意する必要があります。
代襲相続人が複数いる場合(例:孫が2人、甥姪が3人など)は、その全員が対象となります。
「連絡がつかない」「住所が分からない」などの理由で進めてしまうと、後から手続きが止まる原因になります。
行政書士は、相続人の連絡先整理や、遠方相続人に送る書類セットの準備など、事務面の段取りづくりでサポートできます。
※相続人間の対立が深く、代理交渉が必要な段階では弁護士の領域になります。
相続放棄が絡む場合の注意
代襲相続人も、他の相続人と同様に相続放棄を検討することがあります。
相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。
ここで重要なのは、放棄の手続き自体は家庭裁判所で行うものであり、個別事情によって判断が変わり得る点です。
行政書士としては、一般的な制度の説明や、必要書類の整理・取得の段取りといった範囲でサポートし、必要に応じて弁護士等の専門家へ橋渡しを行う形が安全です。
よくある質問
Q. 代襲相続はいつ発生しますか?
A. 被相続人が亡くなった時点で相続が開始し、その時点で被代襲者がすでに亡くなっていれば代襲相続が発生します。
Q. 代襲相続で特に必要な書類は?
A. 被相続人・被代襲者・代襲相続人の関係と死亡の順番を確認できる戸籍等が重要です。金融機関等の手続きでも求められることが多いので、早めに揃えるのがポイントです。
行政書士に相談して整理できること
代襲相続は「制度そのもの」よりも、実際には 戸籍の読み解きと整理 が難所になります。
行政書士は、次のような“書類と段取り”の部分を中心にお手伝いできます。
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戸籍等の収集・整理、相続関係説明図の作成
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相続人・関係者の整理(誰に連絡が必要かの見える化)
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財産目録の作成サポート、必要資料の整理
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遺産分割協議書など、官公署等に提出する書類の作成
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登記・税務・紛争など、他士業領域が関係する場合の橋渡し
まとめ
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代襲相続は「本来の相続人が先に亡くなっているとき」に、その子等が相続人になる制度
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重要なのは「死亡の順番」と「相続人の確定」
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代襲相続人の参加漏れは、遺産分割のやり直しにつながりやすい
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行政書士は、戸籍収集・相続関係説明図・書類作成・段取り整理でサポートできる
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登記申請代理は司法書士、税務申告は税理士、紛争の代理交渉は弁護士の領域



