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11.182025
相続手続き代行を依頼する際の行政書士の選び方

相続手続きは、戸籍収集・財産調査・書類作成・協議記録の作成など、多くの工程が必要となるため、一般の方が単独で進めるには大きな負担がかかります。必要書類や手続きの順序も複雑で、地域の行政実務によって細かな運用が異なるケースもあります。
そのため、行政書士へ相続手続きに関する相談を行い、書類作成や届出の支援を受ける方が増えています。ただし、行政書士に依頼する場合は、「業務として対応できる範囲」と「司法書士・税理士など他士業の分野」とを正しく理解したうえで専門家を選ぶことが重要です。
本記事では、行政書士の選び方、依頼時の注意点、具体的な事例をもとに、失敗しない専門家選びの基準を解説します。
■ 行政書士に相続手続を依頼するメリット
行政書士は、相続に関する以下の業務を適法に行えます。
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戸籍・住民票などの取得代行(委任状がある場合)
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相続関係説明図・財産目録の作成
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遺言書文案の作成支援、公正証書遺言作成の手続サポート(公証役場との連絡調整を含む)
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遺産分割協議書の作成
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行政機関への届出書類の作成・提出代行
※ 不動産の相続登記申請は司法書士の専業、
※ 相続税申告は税理士の専業 となるため、行政書士はこれらを代理することはできません。
行政書士に依頼する際は、これらの業務範囲を明確に説明してくれる事務所を選ぶことが大切です。
■ 行政書士の選び方 ― 3つの重要ポイント
① 相続分野の経験・専門性
行政書士の業務範囲は広いため、事務所ごとに得意分野が異なります。
相続実務の経験が豊富か、年間の対応件数がどれくらいか、連携可能な他士業(司法書士・税理士)がいるかなどを確認しましょう。
② 説明のわかりやすさと相談しやすさ
相続は感情的な問題も伴うため、相談しやすい雰囲気や、丁寧で明確な説明ができる行政書士が望ましいです。
初回相談の印象はとても重要な判断軸になります。
③ 料金体系の透明性
見積書や契約書の提示があるか、追加料金が発生する条件が明確かどうかを確認しましょう。
「書類取得」「遺産分割協議書の作成」「協議サポート」など、サービス範囲の区分が明確であることが重要です。
■ 事例紹介
● 遺産分割協議書の作成を円滑に進めた事例
遺言書が残されておらず、複数の財産を相続人が共有していたケースでは、行政書士が戸籍収集、財産調査、協議書案の作成を担当。
協議自体は相続人全員で行ってもらい、行政書士は内容整理と文書作成に徹することで、法令に沿った協議書を作成できました。
● 不動産が複数自治体にまたがるケース
行政書士が戸籍や固定資産評価証明書の収集・整理を担当し、相続登記が必要な部分は提携司法書士へ引き継ぐ流れを構築。
行政書士と司法書士で役割を明確に分けることで、手続全体をスムーズに進められました。
■ 行政書士に依頼する際の注意点(業務範囲を誤解しないために)
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不動産登記の代理申請は行政書士が行うことはできない
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税務申告や税額計算は税理士のみが行える
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行政書士が「相続人間の争いを仲裁する」「代理で交渉する」ことはできない
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裁判所への申立代理は不可(書類作成支援のみ対応可能)
これらの点を事前に理解しておくことで、トラブルを未然に防げます。
■ 行政書士への依頼の流れ
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相談予約(電話・メール・オンライン相談など)
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初回面談(状況整理・業務範囲の確認)
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見積提示・契約
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戸籍収集・書類作成開始
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遺産分割協議書・財産目録などの作成
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必要に応じて司法書士・税理士へ連携
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手続き完了の報告
■ まとめ
行政書士に相続手続き代行を依頼する際は、
「経験」「説明力」「業務範囲の明確化」 の3つが重要なチェックポイントです。
行政書士ができること・できないことを正しく理解し、必要に応じて司法書士・税理士と連携できる事務所を選ぶことで、相続をスムーズに進められます。
相続手続きに不安がある場合は、複数の事務所へ相談し、納得できる専門家を選ぶことをおすすめします。


