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12.152025
40代・50代が動き出している!「中年相続」ニーズと準備のポイント

40代・50代が相続を意識し始める理由
40代・50代になると、
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住宅ローンや子どもの教育費
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親の介護・施設入所
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自分たち夫婦の老後資金
など、人生の大きなイベントが一度に重なります。
その延長線上にあるのが「親の相続」「自分たち夫婦の相続」です。
首都圏の都市部(川崎市など)では、
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相続人が全国・海外に散らばっている
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再婚・離婚・事実婚など家族のかたちが多様
-
実家が空き家になりやすい
といった事情から、早めの相続準備への関心が高まっています。
中年世代に多い相続の悩み
40代・50代のご相談で多いのは、例えば次のような内容です。
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親の財産がどのくらいあるのか分からない
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きょうだいが遠方に住んでいて、話し合いがしづらい
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前妻(前夫)とのお子さんがいるなど、相続人が複雑
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実家が空き家になりそうで、固定資産税や管理が不安
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自分たちの相続も含めて、遺言書をどう考えればいいか知りたい
これらは地域を問わず共通するテーマですが、人口流動の多い都市部では特に表面化しやすい印象があります。
40代・50代のうちにやっておきたい5つのこと
1. 家族関係と財産の「現状把握」
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親の相続人になる人は誰か
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どんな財産・負債がありそうか
を、ざっくりでも把握しておくと、いざというとき慌てずに済みます。
行政書士は、戸籍や相続関係図、財産目録などの書類作成を通じて、整理のお手伝いができます。
2. 親子で「将来の希望」を共有しておく
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実家を売却してよいのか
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誰にどの財産を渡したいか
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介護や施設入所をどう考えているか
など、感情が落ち着いているうちに話せる範囲で話しておくことが大切です。
話しにくい内容は、メモやエンディングノートの形でも構いません。
3. 遺言書の検討
遺言書があると、相続人同士の話し合いの負担が大きく減ります。
主な選択肢は
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自筆証書遺言
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公正証書遺言
などです。
行政書士は、
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遺言の内容を整理するための事前相談
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文案(たたき台)の作成
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公証役場で公証人と打合せを行う際の資料準備や同行
といった形で遺言作成のサポートが可能です。
※公証人による内容チェック・作成が必要な部分は、公証人の職務となります。
4. 不動産・空き家の方針を決めておく
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実家を誰かが住み続けるのか
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売却・賃貸・建替えなど、将来の方向性
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そのために必要な名義変更や手続き
をあらかじめ話し合っておくと、相続開始後の負担が大きく減ります。
不動産の相続登記そのものの申請・代理は司法書士などの業務ですが、
行政書士は、
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相続関係説明図や遺産分割協議書の作成
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必要な戸籍・評価証明書などの収集
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登記を依頼する司法書士との連携
といった部分でサポートできます。
5. 相続税が関係しそうか「ざっくり」把握する
相続税がかかりそうかどうかの目安として、
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
という基礎控除額があります。
おおよその財産額から「もしかしたら超えるかも」と感じた場合には、
具体的な試算や節税の検討は税理士の専門分野になります。
行政書士は、
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財産の一覧表や資料整理
-
税理士への引き継ぎ
などを通じて、相続税の申告準備がスムーズに進むようお手伝いします。
事例で見る「中年相続」準備の進め方
事例① 賃貸物件を持つ家庭の、早めの遺言作成
首都圏在住・50代男性。
自宅と賃貸マンション数棟を所有し、妻と子ども2人(うち1人は遠方在住)が相続人になる予定です。
心配していたこと
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誰がどの物件を管理するのか
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収益の分け方で子どもたちが揉めないか
行政書士が行ったサポート
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家族構成と不動産・預貯金の整理
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本人の希望をヒアリングし、遺言案(たたき台)を作成
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公証役場で公正証書遺言にするための資料準備と、手続きの段取り説明
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遺言の内容を家族へどのように伝えるかについてのアドバイス
※相続登記や将来の税務申告は、それぞれ司法書士・税理士に依頼していただく前提でご案内しています。
結果
生前に管理方針と分け方が明確になり、
「何となく不安だった相続」が「具体的な計画」に変わりました。
事例② 空き家になりそうな実家をどうするか
40代女性。
両親は高齢で、いずれ施設への入所を検討中。きょうだいは全員別居で、実家は将来的に空き家になりそうでした。
悩み
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誰が管理するのか決まっていない
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固定資産税をどう負担するか
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売るのか、貸すのか、残すのか迷っている
行政書士が行ったサポート
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きょうだい全員の連絡先と意向を整理
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実家の登記・固定資産税などの基本情報を確認
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「売却する場合」「貸す場合」「誰かが住む場合」それぞれの
手続きの流れや必要書類を説明 -
将来の相続に備えた、親世代の遺言作成サポート
不動産の具体的な査定や売却、賃貸の仲介は、
不動産会社や司法書士・税理士をご紹介し、連携して進める形としました。
行政書士に頼めること・他士業との違い
行政書士が主にお手伝いできること
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相続人調査に必要な戸籍・住民票などの取得
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相続関係説明図・財産目録の作成
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遺言書(案)・遺産分割協議書などの書類作成
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官公署に提出する各種届出書類の作成・提出代行
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手続きの全体像の整理と、他士業への橋渡し
他士業の先生にお願いする必要がある主なこと
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不動産の相続登記など登記申請の代理(司法書士)
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相続税の申告・具体的な節税アドバイス(税理士)
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相続を巡る紛争の代理交渉・訴訟対応(弁護士)
行政書士は、こうした専門家と連携しながら、
「書類面・手続き面の土台づくり」を担当するイメージです。
40代・50代のうちに一度、相続の棚卸しを
中年期の相続準備は、
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家族・財産の現状を把握する
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親子で将来の希望をすり合わせる
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遺言や不動産の方針を早めに考えておく
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税金や登記など、他士業の助けが必要なポイントを押さえる
この4つを意識するだけでも、将来の不安はかなり軽くなります。
私は川崎市で相続・遺言を中心とする行政書士事務所を運営していますが、
ここまでお伝えした考え方は、地域を問わず役立つ「相続準備の基本」です。
「うちの場合はどう整理したらいい?」
という段階からでも構いません。
身近な専門家として行政書士を上手に活用し、
40代・50代のうちから、無理のないペースで「中年相続」の準備を始めてみてください。


