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11.252025
相続財産調査:不動産・預金・有価証券を正確に把握する方法

相続で最初に行うべき重要な作業のひとつが 「相続財産調査」 です。
不動産・預金・有価証券などの財産を正確に把握できなければ、遺産分割や相続税申告でトラブルが発生しやすくなります。
近年は都市部・地方を問わず、財産が多様化し、調査の難易度が上がっています。特に、
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不動産が複数の自治体に点在している
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ネット銀行や証券口座が存在する
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家族が財産を把握できていない
といったケースでは、漏れなく調べることが欠かせません。
行政書士は、
相続に必要な資料収集・書類作成・調査項目の整理 をサポートできる専門家です。
(※代理交渉・紛争処理・法律判断は行政書士の業務外のため、必要に応じて弁護士など他士業と連携します。)
本記事では、不動産・預金・有価証券の調査方法を一般化し、どの地域でも通用する形で解説します。
1.不動産の相続財産調査
調査の中心となるのは次の3点です。
■① 登記情報の確認
法務局またはオンラインで「全部事項証明書(登記事項証明書)」を取得し、
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所有者名義
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持分割合
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抵当権などの担保権
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地役権・賃借権などの権利関係
を確認します。
行政書士は、
登記事項証明書の取得代行や内容整理 を行うことができます。
■② 固定資産関連資料の確認
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固定資産税通知書
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名寄帳
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評価証明書
などにより所在地を把握し、「隠れた不動産」がないかをチェックします。
■③ 利用状況・資料の照合
登記と実際の利用状況が異なるケースもあるため、
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名義変更が未了の不動産
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生前に譲渡したが登記が未完了
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使用者と名義人が異なる
なども含めて整理します。
行政書士ができるのは「情報整理・書類収集」までであり、
登記申請は司法書士の業務 となります。
2.預金(銀行口座)の相続財産調査
預金調査は、金融機関ごとに必要書類が異なるため、丁寧な確認が必要です。
■① 手がかり資料の確認
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通帳
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キャッシュカード
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郵送物
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税金や公共料金の引落履歴
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スマホ・PCの金融アプリ
これらから利用金融機関を推測します。
■② 金融機関への問い合わせ
相続開始後の問い合わせには、
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戸籍(出生から死亡まで)
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死亡の事実が分かる書類
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相続人関係を示す資料
などが必要になります。
行政書士は
金融機関提出書類の作成代行・情報整理・手続き順序のアドバイス が可能です。
※預金の払い戻しや凍結解除における「代理交渉」は行政書士の業務外です。
■③ ネット銀行の確認
通知が届かないため、以下の点をチェックします。
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メール履歴
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PC・スマホのアプリ
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振込・引落の痕跡
ネット銀行やネット証券を見落とすと遺産全体が把握できなくなるため注意が必要です。
3.有価証券(株式・投資信託)の調査
有価証券は預金よりも見落としが発生しやすい財産です。
■① 証券会社・管理会社の特定
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証券会社の郵送物
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年間取引報告書
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源泉徴収票
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配当金計算書
などから保有資産を特定します。
■② 自宅にある資料の整理
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株主優待案内
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投資信託の運用報告書
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持株会通知
これらも調査の手掛かりになります。
■③ 評価額の把握
評価額は相続税に影響するため、
税務面は税理士と連携しながら進めることが推奨されます。
行政書士は、
資料収集・一覧化・必要書類作成 などの事務を支援できます。
4.行政書士のサポート範囲
行政書士ができること
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戸籍収集、登記事項証明書の取得
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財産調査のチェックリスト作成
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金融機関・証券会社提出書類の作成代行
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相続関係説明図の作成
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遺産分割協議書(非争訟の場合)の作成
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税理士・司法書士・弁護士との連携
行政書士ができないこと(専門外)
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紛争性のある協議の代理
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相続人間の対立調整・仲裁
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登記申請の代理(司法書士)
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税務判断・税務代理(税理士)
必要に応じて適切な士業へつなぐことで、相続手続きをスムーズに進められます。
5.まとめ
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不動産・預金・有価証券の調査は、遺産分割の前提となる重要作業
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近年はネット口座・複数資産の増加で難易度が上昇
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行政書士は「資料収集・書類作成・段取り整理」の専門家
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登記・税務・紛争が絡む場合は司法書士/税理士/弁護士との連携が必要
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早期調査により、財産漏れ・申告漏れ・相続トラブルを防止できる
財産調査は「早く・正確に」が重要です。
不安がある場合は、専門家へ相談することで手続きを確実に進められます。



