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11.262025
「相続税の申告」とは?基礎控除・期限の基本を正しく理解する

相続税申告は、相続人にとって避けて通れない重要な手続きです。相続発生後は慌ただしく、基礎控除の誤解や必要書類の不足によって申告期限を過ぎてしまうケースも少なくありません。
相続税は、
「基礎控除額」
= 3,000万円+600万円 × 法定相続人の数
を超える遺産がある場合に、申告が必要になります。
申告期限は 相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内 で、期限を過ぎると加算税などの負担が発生します。
また、相続税の計算は不動産の評価、金融資産の把握など多くの作業が必要です。都市部では不動産価格が変動しやすく、評価額の確認に時間がかかるため、早めの準備が欠かせません。
行政書士は、相続税申告そのものの代理業務(税額計算・税務代理)は行えませんが、
戸籍収集、財産調査に必要な資料の取得、各種書類作成、税理士との連携、期限管理のサポート
といった相続手続全体の準備支援を行います。
本記事では、相続税申告の基本と、スムーズに申告を進めるためのポイントを解説します。
1|相続税申告の基礎控除と申告の要否
■基礎控除の仕組み
基礎控除=
3,000万円+600万円 × 法定相続人の数
例:相続人が3名
→ 3,000万円+600万円×3=4,800万円
遺産額がこの控除を超える場合、相続税の申告が必要になります。
■申告が必要かどうかの判断
相続税申告の要否は、次の情報が揃って初めて判断できます。
-
不動産の評価額
-
預金・証券など金融資産の残高
-
負債・葬儀費用
-
保険金受取額の非課税枠の適用状況
行政書士は、これらの
資料収集・一覧化・書類作成
を支援できますが、
税額計算や税務判断は税理士の業務です。
2|相続税申告の期限
申告期限は
相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内。
期限を過ぎると、
-
延滞税
-
無申告加算税
-
税務調査が入りやすくなる
などのリスクがあります。
相続人が複数いたり、不動産が多い場合は書類収集に時間を要するため、早めの準備が不可欠です。
行政書士は、
必要書類の収集とスケジュール管理
を行い、期限超過のリスクを減らすサポートをします。
3|相続税申告に必要な主な資料
-
相続関係を示す戸籍一式
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不動産の登記事項証明書
-
固定資産税評価証明書
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預貯金の残高証明書
-
証券会社の残高報告書
-
生命保険金の支払証明
-
遺産分割協議書(成立している場合)
行政書士は、
これらの取得代行や一覧化、遺産分割協議書の作成(非争訟の場合)
を担当できます。
税額計算・特例適用判断は税理士の専門業務となります。
4|不動産評価の注意点
不動産は資産額が大きいため、評価方法が相続税に大きく影響します。
注意すべきポイントは以下の通り:
-
路線価・固定資産税評価額の確認
-
利用状況によって評価が変わることがある(例:貸家建付地など)
-
小規模宅地等の特例を使うかどうか(税理士判断が必要)
行政書士は、
登記事項証明書や評価証明の取得、必要資料の整理
を担当し、税理士と連携して適正な評価につなげます。
5|期限内に申告するためのポイント
-
必要書類を早期に把握する
-
遺産分割がまとまらない場合は「未分割申告」を活用
-
不動産や金融資産の資料収集に時間がかかることを前提に準備
-
税額計算・申告書作成は税理士と連携
行政書士は、
調査・書類作成・進行管理
を行い、相続人の負担を減らします。
6|行政書士が対応できること・できないこと
行政書士ができること
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戸籍など各種書類の取得代行
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不動産・預金など財産調査の書類収集
-
遺産分割協議書(非争訟)の作成
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相続関係説明図の作成
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税理士・司法書士との連携窓口
-
進行管理・必要書類のチェック
行政書士ができないこと
(ここが業際のポイント)
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相続税の税額計算
-
節税の可否判断
-
税務代理・税務署との交渉
-
不動産の相続登記(司法書士の業務)
税務に関する最終的な判断は、必ず税理士に依頼する必要があります。
7|まとめ
-
相続税申告は「基礎控除の理解」と「10ヶ月期限」が重要
-
不動産評価や金融資産の把握に時間がかかる
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書類の抜け漏れがあると申告できない
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行政書士は資料収集・書類作成・進行管理の専門家
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税理士と連携することで申告がスムーズになる
相続税申告は複雑ですが、早めに準備し、必要に応じて専門家へ相談すれば、トラブルを防ぎながら進めることができます。

