行政書士中村俊介事務所

相続放棄は聞いたことはあっても、具体的に何をし、いつまでにどんな書類を揃えるかが分からない人が多い。とくに川崎市は市域が広く、被相続人の居住区（川崎区、中原区、高津区など）や相続人の居住地が分散しているため、手続きの窓口や必要書類の収集が想像よりも煩雑になりがちです。市内で親が亡くなった後に借金や未払金が判明し、対応に困る事例が増えています。典型的な悩みは「相続放棄をしたら本当に借金から解放されるのか」「どのタイミングで家庭裁判所に申し立てるべきか」「川崎市の各種証明書や金融機関の対応が違って手続きに困った」です。遠方金融機関の預金凍結が絡むと、相続人が複数の窓口を往復して調整する必要が出ます。相続放棄の期限は「自己のために相続の開始があったことを知ってから3か月」で、誤解で手続きが遅れると負債を負う恐れがあります。行政書士の立場からは問題は「情報不足」と「準備不足」に起因し、戸籍の取り寄せ先、住民票の扱い、相続関係説明図の作成方法などの実務的ポイントを整理し、まずは「早めに状況を整理する」「誰がどの書類を担当するかを決める」ことが重要です。具体的には、誰が金融機関や市役所に連絡するか、戸籍収集の順序、家庭裁判所への申し立て書類（申述書や戸籍謄本、住民票、印鑑など）を事前に確認して分担すると、手続きの負担は大きく軽減されます。まずは相談を。

川崎市での相続放棄の重要ポイント

相続放棄は「相続の開始および自己が相続人であることを知った時から3か月以内」に家庭裁判所へ申述するのが原則。起算日は死亡日だけでなく、債権者通知や遺言の発見などを知った日が基準となるため、配達記録等の証拠を保存し期限管理を徹底すること。

必要書類（優先度順）：被相続人の戸籍謄本（出生～死亡の連続）、住民票の除票または本籍記載の住民票、申述人全員の戸籍、相続放棄申述書（所定様式）、申述人の印鑑、代理なら委任状・身分証明書、債務を示す資料。戸籍が市外にある場合は郵送請求を早めに。

管轄は原則被相続人住所地の家庭裁判所（川崎家庭裁判所）。申述は郵送可だが不備で差戻されるため事前確認を推奨。審査で受理・不受理が決まる。

実務的判断：債務が大きければ放棄で個人責任回避が可能だが、プラス資産を放棄する点、次順位へ負担が移る点、撤回が原則困難である点に注意。

川崎市特有の留意点：区役所の業務時間・混雑で戸籍取得に時間がかかる、金融機関や信用金庫の対応差あり。各窓口とのやり取り記録や受領書を保管し担当を明確に。

手順提案：1) 死亡届・戸籍・住民票の取得（郵送活用） 2) 債務調査（差押・督促保存） 3) 相続関係図作成と書類整理、家庭裁判所事前確認 4) 申述（郵送または持参）。戸籍散在・書類作成・窓口対応は行政書士へ依頼すると時間短縮・ミス防止。紛争性や立会いが必要な場合は弁護士連携を。

具体的なケーススタディ（行政書士の視点から）

ケースA：単独相続人が被相続人の負債を発見した場合
死亡後に督促が届いた例。督促状・配達証明・着信履歴等の証拠確保、戸籍・除票取得、金融機関照会、受任通知による交渉確認を経て、3か月以内に相続放棄申述。督促到着日や認識日を記録し、家庭裁判所提出用に整理して放棄が受理された。

ケースB：相続人が全国に分散している多人数相続
相続関係説明図で連絡先・役割を明示し、代理申述同意書や委任状を整備。郵送で戸籍収集・PDF共有を行い、署名入りの意思確認書を揃えることで代表者による申述を円滑化。意見分裂時は各自の選択を文書化。

ケースC：被相続人が個人事業主で事業債務がある場合
税・市役所滞納、取引先・保証人・リース等を早期に調査。事業用口座・売掛金・敷金等の資産負債性を精査し、税理士や弁護士と連携して請求書・契約書等を体系化、放棄の可否を試算提示。

ケースD：外国籍の相続人がいる・言語の壁がある場合
翻訳・公証と海外委任状の取得、国際郵便の追跡記録等で意思確認を証拠化。国外手続きの遅延を見込み、家庭裁判所へ事情説明書を添付して受理を目指す。

行政書士としての実務的着眼点（各ケース共通）
期限管理表を作成し、死亡日・督促日等を明示。証拠は原本性を保ちつつ写しも管理。区役所や金融機関窓口運用差を把握し、代理申述・委任活用など実務的解決策を早期に提示することが鍵。

川崎市での相続放棄の注意点

相続放棄は有効に行えば負債から救われる強力な手段ですが、手続きや事前判断を誤ると取り返しのつかない不利益を被ることがあります。川崎市内の実務を踏まえ、行政書士の立場から特に見落としやすい点・法的リスクとその回避策を整理します。前述の期限や必要書類については既に触れましたので、ここでは現場で頻出する注意点と実務上の落とし穴に重点を置きます。

1. 単純承認：預金引出し、不動産売却、家財処分、債務弁済等は単純承認となり放棄不可。葬儀費用や居住維持は争点。原則、財産に手を付けない。
2. 居住継続：自宅居住者が放棄すると所有・居住権を失うため、賃貸契約や使用合意を事前に整理。
3. 連帯保証・共同債務：契約次第で別問題。契約書を専門家と精査。
4. 証拠化：督促・通知は原本・写しを保管し、内容証明等で記録。
5. 戸籍・証明書：複数自治体や国外は時間を要するため代理取得や委任を活用。
6. 書類不備：提出前にチェックリストで確認。郵送は追跡可能な方法で受領記録を保存。
7. 例外受理：3か月超でもやむを得ない事情があれば裁判所が受理する場合あり。事情説明と証拠を用意。
8. 債権調査：税、公共料金、リース等の未請求債務も確認。必要なら専門家に調査依頼。
9. 限定承認：全相続人の同意が必要で手続き煩雑。専門家関与を推奨。
10. 窓口記録：区役所・金融機関・家庭裁判所の担当者名・日付・受領書を保存。

実務対策（簡潔ワークプラン）：初動は相続事実確認・督促保全・財産債務の概略把握。並行して戸籍取得・金融機関・市税照会・相続人間の意思確認・委任準備。最終判断では単純承認行為を避け、書類を揃えて家庭裁判所へ申述（事前相談推奨）。

行政書士によるよくある質問と対策

以下にQ1〜Q10の要点と実務対策を簡潔に示します。

Q1：既に被相続人の預金で葬儀費用を支払ってしまった。相続放棄はできるか？
対策：葬儀費用のみは限定管理行為とされ得るが他処理で単純承認の危険。領収書・見積・振込記録を保全し事情説明書に記載。

Q2：「相続を知った日」の証明は何が有効か？起算日の争いが出たら？
対策：督促状・内容証明等の書面が有力。電話のみは後で内容証明で裏付け。

Q3：相続人が全国に散在している。全員の合意が得られないときは？
対策：同意は不要だが代表者と委任状で連携。戸籍収集等は代行可能。

Q4：金融機関が「相続人全員の同意が必要」と言う。どう対応する？
対策：要求書類を確認し、受理証明などで交渉。窓口折衝で対応。

Q5：申述書が不備で差し戻された。期限切れになる前にどう防ぐか？
対策：チェックリストで戸籍の連続性・押印・事情説明書・債務証拠を確認し郵送記録を保管。

Q6：相続放棄の申述を専門家に依頼する場合、費用はどの程度？誰に相談すべき？
対策：相続放棄の「申述書・事情説明書などの作成支援」は行政書士が行えます。ただし、家庭裁判所への提出そのものや代理行為は、司法書士や弁護士の業務に該当します。
債務に関する争いがある場合は弁護士、不動産の登記が関係する場合は司法書士が適任です。費用は業務内容によりますが、書類作成のみであれば数万円〜十数万円程度が一般的です。

Q7：遅延申述を検討する場合の実務的留意点は？
対策：3か月超は「やむを得ない事情」を証明（診断書・入院記録・入出国履歴等）し時系列で説明。

Q8：外国にいる相続人の委任や証明書取得はどうする？
対策：現地公証・認証（アポスティーユ等）や翻訳を手配し追跡可能郵送で受領確認。

Q9：「限定承認」を検討するべきケースは？
対策：資産・負債が不明瞭な場合の選択肢だが全員一致かつ手続き複雑。税理士・弁護士と協働で財産目録作成。

Q10：初動での実務チェックリスト（即対応すべき5項目）
対策（行動順）：1 死亡届・死亡診断書写し保管 2 督促状等収集 3 戸籍取得開始 4 家庭裁判所相談 5 行政書士へ相談・委任

行政書士ができる具体的サポート：

• 戸籍・住民票取得代行、相続関係説明図作成
• 相続放棄申述書・事情説明書作成、証拠整理、内容証明送付
• 金融機関・役所との窓口折衝、海外公証・翻訳手配

最後に：税務・保証債務・賃貸等が絡む場合は弁護士・税理士と連携。まず戸籍・督促状・通帳写し等を整理して専門家に相談することを勧めます。

相続放棄のメリット

1. 債務リスクの迅速な遮断と生活再建の明確化
   被相続人に負債や未請求の市税・公共料金がある場合、相続放棄で相続人の資産や同居家族の生活基盤を守れます。早期放棄により想定外の請求を回避できます。
2. 窓口手続きの効率化（地域特性を活かす）
   区役所・金融機関が多い川崎市では、行政書士の地域ネットワークで証明書取得や支店調整を一元化し、手続きが速く正確になります。
3. 家族間トラブルの予防
   負債が明らかな場合、放棄により相続人間の争いや不動産共有を巡る長期紛争を避けられることが多いです。
4. 行政・税務対応の負担軽減
   未納市税や公共料金への直接的な負担を免れる場合があり、市税課等との交渉負担を軽減できます（個別確認要）。
5. 精神的負担の軽減と意思決定の明確化
   放棄で法的責任が明確になり、生活設計の立て直しが容易になります。行政書士による事情説明で家庭裁判所の処理も速くなります。
6. 川崎市全域での実務的メリット（ワンストップ化）
   各区の公的機関対応をワンストップで進められ、遠隔地や海外の相続人がいても代行で短期化できます。

注意点（簡潔に）
プラス財産も放棄されるため、住居・敷金・保険金の扱いは事前整理が必要。効果や範囲は個別案件で異なります。

実務対応のヒント（行政書士からの提案）
まず債務の有無を把握し、相続人全員の意思確認と代表者決定を行う。証明書取得・金融機関照会は優先順位を付け、行政書士へ代行依頼すると時間短縮とミス防止になります。
川崎市周辺にも当てはまるポイント

相続放棄は全国共通の民法・家事審判法に基づく手続きですが、地域をまたぐ実務上の注意点と対策を簡潔に示します。

1. 管轄と窓口の確認（被相続人の最後の住所が基準）：申述先は最後の住所地の家庭裁判所。不動産は所在登記所の別窓口。管轄へ事前確認を。
2. 戸籍・住民票の分散収集：本籍や出生地が複数自治体にまたがるのが常。郵送・代理取得やe戸籍対応の差を見越して早め手配。
3. 債権者照会・金融機関対応：金融機関ごとに運用差あり。回答書や受領証は保存し、督促等は内容証明で記録化。
4. 相続人が複数県・海外に散在：代表者を定め委任状を整備。海外は公証・アポスティーユや領事認証が必要。
5. 「知った日」の証拠と3か月ルール：起算日の証拠を固め、遅延理由は家庭裁判所へ事情説明。
6. 証拠の一元管理とタイムライン：担当表を作り受領履歴を共有。
7. 専門家連携：登記は司法書士、争いは弁護士、税務は税理士と早期連携。
8. 電子申請・相談の活用と限界：オンライン可否は事前確認。
9. 優先チェックリスト：家庭裁判所相談→戸籍等収集→金融・市税照会→代表者・委任状→送付受領の記録化。

地域横断は情報分散と窓口違いが最大の障害。初動整理と証拠化、専門家の代行で手続き短縮が可能です。
まとめと結論（川崎市の住民向け）

川崎市で相続放棄を検討する際の最重要事項は、期限管理と証拠の確保、そして「単純承認とみなされる行為の回避」です。

初動（至急：できれば数日以内）─ 死亡診断書・死亡届の控えを確保。債権者からの督促・差押え通知は原本保存と到達日の記録。預貯金の引出しや遺産現状の変更は避ける。

中期対応（2週間〜1か月以内）─ 被相続人の戸籍（出生〜死亡の連続）と住民票除票を取得。金融機関・市税・公共料金の照会結果は写しで保管。

最終判断準備（3か月ルールを意識）─ 相続放棄の申述は「相続を知った日」から3か月以内が原則。起算日を裏付ける証拠を整理し、事情説明書・相続関係説明図等を準備する。

行政書士に依頼すると有効な場面─ 戸籍収集や申述書作成、窓口調整・内容証明送付の代行。弁護士に相談すべきケース─ 連帯保証や共同債務、相続人間の争い、3か月超の可否争い。

川崎市特有の注意点─ 区ごと窓口運用や金融機関対応に差があるため、窓口担当者名・日付の記録、受領証やメールの保存を徹底する。

最短行動チェックリスト─ 死亡証明写し確保→督促原本保存→遺産に手を付けない→戸籍・住民票取得→家庭裁判所事前相談または行政書士相談（3か月内を逆算）。
行政書士に相談する理由とお問い合わせ情報（川崎市エリアに対応）

行政書士に依頼する主な理由（実務的メリット）

• 期限管理と起算日の整理で「相続を知った日」から3か月の算出・タイムライン作成を支援。
• 申述書・事情説明書等の作成・チェックで不備を防止（家庭裁判所への取扱いは事案ごとに確認）。
• 戸籍・住民票等の収集代行、債務照会補助、証拠整理、多地域・国外相続人の調整。
• 必要時は弁護士・税理士・司法書士と連携。

相談前に用意しておくと手続きが早く進むもの（初回相談での確認）

• 死亡日が分かる書類、督促状等の写し、戸籍（無ければ代行可）、相続人連絡先、資産・負債情報。

業務の進め方（概略）

1. 初回ヒアリング（期限算出・必要書類確認）

2. 書類収集の代行（戸籍・住民票等）

3. 相続放棄申述書や事情説明書などの作成支援（代書）

4. 提出先・提出方法（郵送や持参など）についての案内・サポート（※代理提出不可）

5. 必要に応じて受領後の書類確認・フォローアップ（※受理決定自体は裁判所が判断します）

• 対応エリア（川崎市内全域）
  川崎市7区中心、横浜南部・東京都南部も対応。遠方・海外はリモート可。