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4.132023
行政書士ができること/できないこと【士業の業際についてざっくりと解説】
「行政書士」-名前を聞いたことがあっても、具体的に何ができる士業なのかわからない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、他の士業と比較しながら「行政書士ができること/できないこと」を解説します。
「行政書士ができること」記載条文の側面から見る
行政書士法に、「行政書士が業としてできること」が規定されています。
e-gov法令検索
1.書類の作成業務
第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、①官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他②権利義務又は③事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
つまり、行政書士の独占業務として①②③の書類作成があるということです。
官公署に提出する書類の例 | 建設業許可申請/産業廃棄物収集運搬業許可申請/古物商許可申請/風俗営業許可申請/在留資格申請 |
権利義務に関する書類の例 | 遺産分割協議書/離婚協議書/契約書/内容証明 |
事実証明に関する書類の例 | 会社定款/議事録/財務諸表/相続関係説明図 |
「業際」って何?
2 行政書士は、前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
ただ、いわゆる他士業の独占業務を行政書士が行うことはできません。
士業とは、「〇〇士」と名のついた専門性と公益性が高い職業のことを指します。職務上、委任状によって住民票などの請求権が認められている主な士業を8士業といいます。8士業は国家資格であり、一部独占業務がある点も共通しています。
8士業の主な業務
名称 | 主な業務 | 行政書士が作成できない書類 |
弁護士 | 法律にかかわる業務全般 | 訴訟事件・非訟事件に関する書類等 |
司法書士 | 土地や家屋・法人登記の申請、民事訴訟の手続きなどに必要な書類の作成 | 不動産登記申請書、会社設立登記申請書、供託書等 |
行政書士 | 官公署などに提出する書類の作成、契約書の作成代理 | |
社会保険労務士 | 社会保険手続き代行、年金相談、労務管理相談、労災や助成金の申請代行 | 労働及び社会保険に関する法令に基づいて厚生労働省等に提出する書類 |
弁理士 | 特許庁での手続き代行、意匠や商標の異議申し立て代行 | 特許出願書、実用新案登録出願書、意匠登録出願書、商標登録出願書等 |
税理士 | 税務相談、税務代理、税務書類作成、税務訴訟の補佐、会計業務(記帳代行など) | 所得税、法人税、住民税、事業税等の申告書等 |
土地家屋調査士 | 土地・家屋の調査や測量、不動産登記の代理 | 土地表示登記申請書、建物表示登記申請書等 |
海事代理士 | 船舶の登記や登録、船員法にかかわる手続き代行、海上交通にかかわる許認可代行 | 船員法に基づく船員の就業規則等 |
【行政書士の扱う範囲イメージ】
行政書士が取り扱える書類の数は1万点以上と言われています。
2以下は「法定非独占業務」とされています。依頼を受け報酬を得て、次の業務を行えます。
2. 官公署提出書類の提出手続及び聴聞・弁明手続の代理業務(一条の三第1項1号)
申請代理をすることができます。また、官公署からの問い合わせに対し、依頼人の代理人として行政書士自身の判断で対応することができます。
行政庁が不利益処分をしようとする場合に必要となる聴聞手続/弁明手続についても、行政書士は代理人となれます。
3.行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する不服申立ての手続についての代理等(同条項2号)
2014年に行政不服審査法が改正され、従来弁護士のみができた「行政庁の行った処分に不服がある場合、処分を受けた本人に代わって行政庁に対して不服申し立て」を特定行政書士もできるようになりました。
4. 契約書等の書類の作成に関する代理業務(同条項3号)
遺産分割協議において、相続人間が紛争状態にあれば行政書士は介入することはできないが、助言や説得を含めて相続人間の合意形成をリードし、分割協議をまとめる代理行為は合法と解されます。
5. 書類の作成に関する相談業務(同条項4号)
いわゆる「法律相談」ではなく、あくまで「書類の作成についての相談」であることがポイントです。
結局、行政書士ができることって?
「国民の権利利益の実現に資する」こと
行政書士法第1条は以下の通りに規定されています。
この法律は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もって国民の権利利益の実現に資することを目的とする。