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兄弟姉妹が相続人となるケースのポイント

相続というと「配偶者や子が相続人になる」と思われがちですが、配偶者も子もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人になることがあります。
このケースは、日頃の関係が疎遠になっていることも多く、連絡の取り方や話し合いの進め方ひとつで、手続きが止まってしまうことも珍しくありません。

兄弟姉妹相続では、相続人の範囲や遺産分割の進め方が、配偶者・子がいる相続と異なります。特に、不動産が中心の遺産だと「どう分けるか」が難しくなり、手続きの負担も大きくなりがちです。
この記事では、兄弟姉妹が相続人になるときに押さえるべき基本と、実務でつまずきやすいポイントを整理します。


兄弟姉妹が相続人になるのはどんなとき?

兄弟姉妹が相続人になるのは、基本的に次のようなケースです。

  • 配偶者がいない

  • 子(および孫などの直系卑属)がいない

  • 親(直系尊属)もすでに亡くなっている

また、兄弟姉妹が相続人の場合でも、すでに亡くなっている兄弟姉妹がいれば、その子(甥・姪)が代襲相続人になることがあります。
この「甥・姪が入って相続人が増える」パターンが、話し合いを難しくする原因になりやすい点です。


まず大事なのは「相続人の確定」

兄弟姉妹相続は、戸籍を追っていくと想定外の相続人が出てくることがあります。
たとえば、

  • 生前ほとんど交流のなかった兄弟姉妹がいた

  • 亡くなった兄弟姉妹の子(甥・姪)が複数いる

  • 転籍が多く、戸籍の取り寄せ先が複数になる

といった事情で、相続人の確定に時間がかかることがあります。

行政書士は、戸籍等の収集・整理、相続関係説明図の作成などを通じて、
「誰が相続人なのか」「誰に連絡が必要か」を見える形に整えるサポートが可能です。


財産の特徴は「不動産が中心になりやすい」

兄弟姉妹相続で特に悩みになりやすいのが、不動産をどう扱うかです。

  • 誰かが住み続けるのか

  • 売却するのか

  • 共有名義にするのか

この方針が決まらないと、遺産分割協議が前に進みにくくなります。
また、不動産以外にも、預貯金・保険・有価証券・借入(債務)など、遺産は多岐にわたります。まずは「何が遺産に含まれるか」を整理することが重要です。

行政書士は、財産目録(一覧表)の作成や、必要書類の洗い出し・取得の段取り整理など、手続きの土台づくりをお手伝いできます。
※不動産の相続登記の申請代理は司法書士、相続税の申告は税理士の業務です。


遺産分割協議が難航しやすい理由と対策

兄弟姉妹相続がこじれやすい主な理由は、次のとおりです。

  • 相続人同士が疎遠で、連絡や意思確認に時間がかかる

  • 甥・姪が加わり、人数が増える

  • 不動産を「売る/残す」で意見が割れる

  • 介護や生前の援助など、感情の背景が大きい

対策としては、最初に以下を整えることが効果的です。

  • 相続人を確定し、連絡先を一覧化する

  • 財産を一覧化し、資料(通帳コピー、固定資産税通知など)を集める

  • 「いつまでに何を決めるか」をスケジュールに落とす

  • 合意内容は必ず書面にまとめる(後日の言った言わない防止)

行政書士は、協議に必要な資料の整理や、合意内容を反映した書類(遺産分割協議書等)の作成を通じて、進行の整理を支援できます。
※相続人間で対立が深く、代理交渉が必要な段階では弁護士の領域です。


兄弟姉妹相続で気をつけたい期限

相続は、想像以上に「期限」が多い手続きです。
たとえば相続税の申告が必要な場合、原則として期限があります(申告要否の判断や申告手続は税理士の業務)。
期限が絡む可能性があるときは、早めに全体像を整理し、必要に応じて専門家へつなぐことが大切です。

行政書士は、戸籍・財産・協議書類の整備を先に進め、司法書士・税理士などへ引き継ぎやすい状態を作る「交通整理役」として関わることができます。


行政書士に依頼できること

兄弟姉妹が相続人となるケースで、行政書士がお手伝いできる主な内容は次のとおりです。

  • 戸籍等の収集・整理、相続関係説明図の作成

  • 財産目録の作成、必要資料の整理

  • 遺産分割協議書など、官公署等に提出する書類の作成

  • 遠方相続人とのやり取りに必要な書類セットの作成、進行の段取り整理

  • 登記・税務・紛争など、他士業の領域が関係する場合の橋渡し

「誰が相続人か分からない」「何から始めればいいか分からない」という段階でも、整理から一緒に進めることが可能です。


まとめ

  • 配偶者・子・親がいない場合、兄弟姉妹が相続人になる

  • 亡くなった兄弟姉妹がいれば、甥・姪が代襲相続人になることがある

  • 最初に「相続人の確定」と「財産の整理」を行うのが重要

  • 不動産の扱いで協議が長引きやすいため、資料整理と段取りづくりがカギ

  • 行政書士は、戸籍・財産・協議書類の整備と、他士業連携の窓口としてサポートできる

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